Tahoeのあの透け具合、あなたはどちら派でしたか。きれいだと言う人と、文字が読めないと言う人に、この1年きれいに割れた機能です。私は正直、読めない派でした。それが27でどう変わったのか。幸い、うちのMacはTahoeとGolden Gateを起動ディスクの切り替えで往復できます。同じ壁紙、同じライトモード、同じ場面を両方のOSで撮って、並べて確かめました。先に白状すると、予想は半分外れました。静止画で並べると、ガラスそのものの差は思ったより小さい。代わりに、ガラスの向こうで細部がいくつも動いていました。
前編・三つの場面を並べる
通知センター

透過が一番濃く出る場面です。並べてみて、まず認めます。ここは互角でした。ウィジェットの透け方も文字の立ち方も、静止画では見分けがつかない。1週間の生活では読みやすくなった実感があったのに、写真は同じ顔をしている。体感の差は、たぶん動きや場面の切り替わりで効いていて、止め絵はそれを写してくれません。代わりに写っていたのが、天気ウィジェットの時刻表記です。Tahoeの「23時・0時・1時」が、27では「23:00・0:00・1:00」に変わっている。誰も告知しない種類の、でも確かに手が入った跡でした。
Spotlight

ガラス比較のつもりが、機能比較になった場面です。27のSpotlightは、検索欄に「Alfred 5 ー 開く」と、候補だけでなくアクションまで補完してきます。入力の途中で、もう「開く」まで持っている。窓の下の候補チップの並びも変わっていて、検索窓というより小さなランチャーに近づいていました。パネルの質感自体は両者とも白いすりガラスで大差なし。ここも「ガラスは互角、中身が別物」という結果です。
システム設定

いちばん意外な差は、言葉に出ました。27の設定画面、よく見ると「About」「Storage」「Sharing」が英語のままです。Tahoeでは「情報」「ストレージ」「共有」と訳されていた項目が、ベータではまだ未翻訳で混ざっている。サイドバーの項目名や並びも動いていて、設定アプリの中身が組み替えの途中だと分かります。日本語ロケールの翻訳エディターを務めている身としては、こういう「訳が追いついていない瞬間」の画面は、正式版では二度と撮れない記録でもあります。ガラスのほうは、サイドバーの透けもリストの白も、両OSでほぼ同じでした。
未翻訳が残っている理由も、翻訳する側から少し補足しておきます。macOSの日本語化は、正式版に向けてベータの間に少しずつ差し替えられていきます。新しく作り直された画面ほど英語が残りやすく、逆に言えば「英語のまま」の項目は、27で内部が新しくなった場所の目印です。今回の設定アプリでいえば、About・Storage・Sharingのあたりが作り替えの最前線にいる、と読めます。ガラスの見た目が変わっていなくても、その裏でこれだけ手が入っている。表面だけ撮っていると見落とす層です。
後編・並べて分かったこと
三つの場面に共通した答えはこうです。27のLiquid Glassは全面刷新ではなく、場面を選んだ局所調整。静止画で並べて差が出ない場所は、裏を返せば「Tahoeの時点で問題がなかった場所」で、私が1週間感じてきた読みやすさの改善は、文字を読ませる場面のコントラストと、操作の動きの中で効くタイプの調整でした。並べる前は「一目で分かる差」を期待していたので、これは予想が外れた側の正直な報告です。そのぶん、時刻表記、Spotlightのアクション補完、未翻訳の英語という、告知されない細部の変化を三つ拾えました。
なぜ静止画だと差が出にくいのか、少し掘っておきます。Liquid Glassの透過は、背景を単純に透かしているのではなく、背後のピクセルを取り込んでリアルタイムに屈折とぼかしを計算し直す描画です。ウインドウを動かした瞬間、スクロールした瞬間、背景が変わった瞬間に、ガラスの表情も追従して変わります。読みやすさの改善は、この「動いている最中にどう見えるか」に効いていて、止め絵はその一番おいしい部分を捨ててしまう。私が1週間の操作で感じた差と、並べた写真が黙り込む差の食い違いは、たぶんここから来ています。裏を返せば、スクリーンショット1枚でLiquid Glassを語ろうとすること自体に、少し無理があったわけです。
本当はコントロールセンターとSafariも並べるつもりで撮っていました。透過が濃く出るコントロールセンターは、ガラスの差が一番はっきりしそうな本命です。ところが撮り比べると、27側だけ編集モードに入っていたり、クリーンな検証環境ゆえにSafariの拡張機能の並びが違ったりして、「OS以外は同じ」の条件が崩れていました。条件の揃わない2枚を並べても、それはLiquid Glassの比較ではなく別物の比較になってしまう。今回は条件を揃えきれた三つの場面に絞り、コントロールセンターの本命対決は、両方を同じ状態で撮り直せる次の機会に持ち越します。
余談をひとつ。撮影前にベータのチャンネルをパブリックベータへ切り替えたら、小さな更新が降りてきて、ビルドが26A5378jから26A5378nに進みました。パブリックベータ配信の裏で、手はまだ動いています。
変化は、ガラスの向こうの細部にいました。
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