2026年4月9日、WordPressに過去最大級のアップデートがやってきます。
WordPress 7.0は「Gutenberg Phase 3:コラボレーション」の本格始動を告げるリリースです。Googleドキュメントのようなリアルタイム共同編集、AIとの連携基盤、13年ぶりの管理画面リフレッシュなど、サイト運営者なら誰もが気になる変更が山盛りです。
この記事の結論
WordPress 7.0の最大の変化は「ひとりで書くCMS」から「みんなで作るプラットフォーム」への進化です。リアルタイム共同編集・Notes機能・ビジュアルリビジョンといったコラボレーション機能が本格始動し、AI連携基盤・新ブロック・管理画面リフレッシュも加わります。当初の正式リリース予定日は2026年4月9日でしたが、リリースサイクルが延長されました(新スケジュールは4月22日までに発表予定)。アップデート前にPHPバージョン確認・バックアップ・ステージングテストの3点を必ず行ってください。
この記事では「自分のサイトにどう影響するの?」「何が便利になるの?」という視点で、WordPress 7.0の全容をわかりやすくお伝えします。専門用語にはできるだけ補足を入れていますので、WordPress初心者の方も安心して読み進めてください。
この記事でわかること
- WordPress 7.0がリリースされる背景と日程
- 一般ユーザーに影響が大きい7つの新機能
- 新しく追加されるブロックとデザイン機能
- アップデート前にやっておくべき準備
- よくある質問と回答
WordPress 7.0がリリースされる背景
WordPress 7.0は、2025年の法的紛争による開発遅延を経て、WordPress 6.9の安定化基盤の上に構築された品質重視のリリースです。当初の正式リリース予定は2026年4月9日(WordCamp Asia開催日)でしたが、リアルタイムコラボレーション機能のデータベース設計見直しのため延期されました。
激動の2025年、そして復活の2026年
WordPress 7.0の話をするとき、2025年に何があったのかを知っておくと理解が深まります。
2024年後半、WordPress開発の中核を担うAutomattic社と大手ホスティング企業WP Engine社の間で法的紛争が発生しました。Automattic社はWordPressコア開発に多くのエンジニアを貢献していましたが、この紛争の影響で一時的に貢献を停止。その結果、2025年にリリース予定だった3つのメジャーバージョンは2つ(6.8と6.9)に減り、WordPress 7.0は2026年に持ち越されました。
しかし、この遅延は決して悪いことばかりではありません。WordPress 6.9(コードネーム「Gene」)は2025年12月に安定化リリースとして公開され、技術的負債の解消やコラボレーション機能の基盤づくりが行われました。つまり、WordPress 7.0は十分に磨かれた土台の上に構築された、品質重視のリリースなのです。
リリーススケジュール
| マイルストーン | 日程 |
|---|---|
| Beta 1 公開 | 2026年2月19日 ✅ 公開済み |
| Beta 2 公開 | 2026年2月下旬 ✅ 公開済み |
| Beta 3 公開 | 2026年3月6日 ✅ 公開済み |
| Beta 4 公開 | 2026年3月12日 ✅ 公開済み |
| Beta 5 公開 【追記】 | 2026年3月12日 ✅ 公開済み(当初予定外の追加ベータ) |
| Beta 6 公開 【追記】 | 2026年3月20日 ✅ 公開済み(RC1延期に伴い追加) |
| RC1(リリース候補版) 【追記】 | 2026年3月24日 ✅ 公開済み(当初3月19日予定→延期) |
| RC2 【追記】 | 2026年3月26日 ✅ 公開済み(翻訳用文字列がこのタイミングで利用可能に) |
| RC3 【追記】 | 未発行(リリースサイクル延期に伴い中止) |
| ⚠️ 正式リリース延期 【追記】 | 2026年4月9日は見送り。新スケジュールは4月22日までに発表予定 |
【追記・2026年4月10日】WordPress 7.0 リリース延期のお知らせ
2026年3月31日、リリースリード Matias Ventura が公式ブログで WordPress 7.0 の延期を正式発表しました。WordPress 共同創業者 Matt Mullenweg も Making WordPress Slack で延期を提唱しており、「日程主導から一歩引き、極めて高い安定性(extreme stability)を目標にすべき」と述べています。
延期の直接原因:リアルタイムコラボレーションのデータベース設計問題
現行の実装では、アクティブなリアルタイム編集セッション中に永続的な投稿キャッシュ(persistent post cache)が無効化されるという深刻なパフォーマンス問題が判明しました。post_metaベースの現在のアプローチでは根本的な解決が難しく、リアルタイムコラボレーション専用の新しいデータベーステーブルを設計・実装し直す必要があるという結論に至りました。また、リアルタイム編集(高頻度・低レイテンシーの書き込み)と同期管理(異なるワークロード特性)を同一の仕組みで扱うことの課題も指摘されています。
今後のスケジュール
- 4月17日まで:追加のプレリリースバージョンは一時停止(ナイトリービルドでテスト継続は可能)
- 4月22日まで:新しいリリーススケジュールを正式発表予定
- 延期期間の目安:数週間(Slack上では「3〜4週間」と言及あり、複数の情報源では5月中旬〜下旬の正式リリースを見込む報道も出ています)
WordCamp Asia 2026(ムンバイ、4月9〜11日)は予定通り開催されましたが、WordPress 7.0 の正式リリースは行われませんでした。現在の安定版は WordPress 6.9.4 です。
記事内で「4月9日リリース」と記載している箇所はすべて「リリース日未定(4月22日までに発表)」と読み替えてください。リリース日が確定次第、本記事を更新します。
2026年はWordPress 7.0を皮切りに、7.1(8月)、7.2(12月)と年3回のメジャーリリースに復帰する予定です。なお、7.0の延期に伴い7.1・7.2の日程も後ろにずれる可能性があります。
リアルタイム共同編集 ― チームで同時に記事を書ける
WordPress 7.0最大の目玉機能です。Googleドキュメントのように複数ユーザーが同じ投稿を同時編集でき、変更がリアルタイムで同期されます。デフォルトの通信方式はHTTPロングポーリングで、ほとんどのレンタルサーバーで利用できます。
どんな機能?
複数のユーザーが同じ投稿やページを、同時に開いて編集できるようになります。いままでWordPressで同じ記事を2人が開くと「○○さんが編集中です」とロックがかかっていましたが、7.0ではGoogleドキュメントのように同時に編集し、変更がリアルタイムで同期されます。
具体的に何ができるの?
- 同時編集 ― ライターが本文を執筆しながら、編集者が別のセクションの誤字を修正できる
- リアルタイム同期 ― 他のユーザーの変更がリアルタイムで画面に反映される
- オフライン編集 ― ネット接続が一時的に切れても作業を続行でき、再接続時に自動同期される
- データ競合の解決 ― 同じ箇所を複数人が編集した場合も、データが失われない仕組みが備わっている
技術的にはどう動いているの?
WordPress 7.0では、デフォルトの通信方式としてHTTPロングポーリングが採用されています。これは特別なサーバー設定なしで動く堅実な方式で、ほとんどのレンタルサーバーで利用できます。
同期の頻度は状況によって変わります。一人で編集しているときは4秒ごとにまとめて同期し、複数人が同時に編集しているときは1秒ごとにリアルタイムで更新されます。
より高速な同期が必要な場合は、ホスティング会社やプラグインが独自のSyncプロバイダーを提供することも可能です。ストレージとトランスポートレイヤーは差し替え可能な設計になっています。
ポイント:
【追記】7.0正式リリースではデフォルト「オフ」に変更(オプトイン方式)
RC1の時点でリアルタイム共同編集の初期状態が「オフ」に変更されました。使いたい場合は管理画面の「設定 → 投稿」から手動で有効にする必要があります。ベータ期間中に有効にしていたサイトも、7.0へのアップグレード後は自動的にオフになります。開発チームは広くフィードバックを得るためにベータ中はデフォルト有効にしていましたが、より慎重な展開を選択しました。将来のバージョンでデフォルトオンになる見込みです。
同時編集者数はデフォルト2名まで
Gutenbergのクライアントサイドコードでは、同時に編集できるユーザー数がデフォルトで2名に制限されています。3名以上で編集したい場合は、ホスティング会社が独自のSyncプロバイダーを提供するか、wp-config.phpに定数を追加することで上限を変更できます。共有サーバー環境では同期に若干の遅延が出ることがある点も覚えておきましょう。
【追記】共有サーバーでの負荷に注意
共有ホスティング環境では、2名が1つの投稿を共同編集するだけで1分間に約480回のHTTPリクエストが発生する可能性があります。格安の共有サーバーでは、同時接続が多い時間帯に応答が遅くなることも考えられます。共同編集を業務で本格活用したい場合は、VPSやマネージドWordPressホスティングへの移行も検討してください。
【追記】メタボックスがある投稿では共同編集が自動的にオフになります
Yoast SEOなどのSEOプラグイン、ACFなどのカスタムフィールドプラグインが使う「メタボックス」(投稿編集画面の下部に表示される追加設定エリア)が存在する投稿では、リアルタイムコラボレーションが自動的に無効化されます。多くの日本語サイトでYoastや類似プラグインが使われているため、「共同編集できると思ったらできなかった」というケースが想定されます。7.0のリリース期間中に各プラグインがモダンなAPIへ移行することが期待されています。
【追記】リリース延期中もこの機能の内容は変わりません
今回の延期はリアルタイムコラボレーションのデータベース設計(バックエンド)の見直しが目的であり、ユーザーが体験する機能の内容自体は変わりません。延期によってこの機能がより堅牢になって登場することが期待されます。
Xserverの共用サーバーではWebSocketやSSEも動作しません。ロングポーリングでの実装については「XserverでWebSocketもSSEも動かない」で解説しています
誰にとって嬉しい機能?
この機能が特に威力を発揮するのは、複数人でサイトを運営しているチームです。企業のオウンドメディア、Webメディア、教育機関のサイトなど、ライター・編集者・デザイナーが関わる環境では大きな効率アップが期待できます。
個人ブロガーの方は「自分には関係ないかな」と思うかもしれませんが、将来的に外注ライターと一緒に作業する場面や、友人とコラボ記事を書く場面で非常に便利です。
Notes(ノート)機能の強化 ― 編集者同士のやりとりがラクに
WordPress 6.9で導入されたNotes機能が大幅強化され、ブロック内の特定テキスト範囲へのピンポイントコメント、@メンション通知、リアルタイム同期が追加されます。レビューから公開までWordPress内で完結できるようになります。
Notes機能とは?
Notesは、エディタ上の特定のブロック(段落、画像、見出しなど)に対して、付箋のようにコメントを残せる機能です。Googleドキュメントの「コメント」機能をイメージするとわかりやすいでしょう。
WordPress 7.0で追加される改良点
- フラグメントノート ― ブロック全体ではなく、ブロック内の特定のテキスト範囲を選択してピンポイントにコメントできる
- @メンション ― コメント内で「@ユーザー名」と書くと通知が届く。「@田中さん ここの表現を確認お願いします」といった使い方が可能
- リアルタイム同期 ― ノートの追加や返信がリアルタイムで他のユーザーに反映される
- キーボードショートカット ― 新しいノートを素早く作成できるショートカットキーが追加
実務での活用例: 「記事のレビューはGoogleドキュメント、公開作業はWordPress」という二重管理をしていた方は、WordPress 7.0でレビューから公開まで一元化できます。校正フィードバックのやりとりがWordPress内で完結するため、作業効率が大幅にアップするはずです。
ビジュアルリビジョン ― 変更点が「見て」わかる
従来のテキスト差分だけだったリビジョン画面が進化し、ページレイアウトや画像配置の変更も含めて「実際の見た目ベース」で新旧バージョンを比較できるようになります。追加は緑、削除は赤、変更は黄色の枠線で色分け表示されます。
WordPressにはもともと「リビジョン」という機能があり、過去の編集履歴を確認して以前の状態に戻すことができました。しかし従来のリビジョン画面はテキストやHTMLコードの差分比較だけだったため、レイアウトやデザインの変更がわかりにくいという課題がありました。
WordPress 7.0のビジュアルリビジョン
7.0では、ページのレイアウトや画像配置の変更も含めて、実際の見た目ベースで新旧バージョンを比較できるようになります。
たとえば、画像の差し替えや位置の変更、カラムレイアウトの変更、フォントサイズや色の変更、ブロックの追加・削除・並び替えといった変更がひと目で把握できます。
特にランディングページや企業サイトのように、デザインが重要なページを運営している方にとっては嬉しい改善です。「誰がいつ何を変えたのか」が視覚的にわかるので、意図しない変更を素早く発見して元に戻すこともできます。
色分けルール
差分表示の色分けルールが正式に決まっています。追加されたブロックは緑の枠線、削除されたブロックは赤の枠線、設定が変更されたブロックは黄色の枠線で表示されます。テキスト内の変更については、追加テキストが緑+下線、削除テキストが赤+取り消し線で示されます。直感的に変更箇所を把握できる設計になっています。
管理画面が13年ぶりにリフレッシュ
2013年から基本デザインが変わっていなかった管理画面が刷新されます。新しい配色・統一されたタイポグラフィ・DataViewsによる一覧画面の改善・ビュートランジションによるスムーズな画面遷移が導入されますが、操作方法自体は大きく変わりません。
主な変更点
デフォルトカラースキームの変更: ダッシュボード全体の配色が新しくなります。より現代的で統一感のあるデザインになり、サイトエディタとの一体感が増します。
タイポグラフィの統一: フォントの種類やサイズが管理画面全体で統一され、読みやすさと視認性が向上します。
DataViewsの拡大適用: 投稿一覧やページ一覧の画面に「DataViews」と呼ばれる新しいUIコンポーネントが適用されます。フィルタリングやソートがより直感的になり、大量のコンテンツを管理しやすくなります。
画面遷移のスムーズ化: ダッシュボード内のページ切り替えに「ビュートランジション」が導入されます。画面遷移時のチカチカ感がなくなり、まるでアプリのようなスムーズな操作感になります。
コマンドパレットのOmnibar統合(Beta 5で追加): 管理画面上部のアドミンバー(Omnibar)に⌘K(Mac)/Ctrl+K(Windows)と表示されたフィールドが新設されました。クリックするとコマンドパレットが即座に開き、ページの移動・設定変更・プラグイン管理などを、今いる画面を離れずに実行できます。WordPress 6.9ではブロックエディタ内でしか使えなかったコマンドパレットが、7.0では管理画面のどこからでもアクセス可能になりました。キーボード操作に慣れている方にとっては、管理画面の操作速度が大幅に向上する改善です。
注意点: 今回のリリースは「全面リニューアル」ではなく「段階的なリフレッシュ」です。操作方法自体が大きく変わるわけではないので、急に使い方がわからなくなる心配はありません。ただし、管理画面のCSSをカスタマイズしている場合は、デザインのズレが生じる可能性があるため確認が必要です。
AI統合の基盤が登場 ― WordPressがAI対応へ
WordPress 7.0にはAI機能そのものは搭載されませんが、AIを活用するための「土台」(WP AI Client・Connector機能・Abilities API)が追加されます。AIサービスは同梱されず、設定しなければ外部にデータが送られることはありません。
「WordPressにAIが搭載されるの?」と期待している方も多いと思います。WordPress 7.0では、AI機能そのものが搭載されるのではなく、AIを活用するための「土台」が用意されるという位置づけです。
WP AI Client(AIクライアント)
WordPress 7.0には「WP AI Client」と呼ばれるAPIが追加されます。これは、OpenAI、Anthropic、Googleなど任意のAIプロバイダーと連携するための統一的な窓口です。
重要なのは、WordPress本体にAIサービスは同梱されないという点。AIの利用はあくまでユーザーやプラグイン開発者が自分で設定するもので、設定しなければ外部にデータが送られることはありません。プライバシーの観点からも安心できる設計です。
Connector機能と3社パッケージの詳細
WordPress 7.0では「Connector(コネクター)」機能が管理画面に追加され、APIキーの保存とAIプロバイダーの選択がコア機能として提供されます。内部的にはphp-ai-clientという共通PHPライブラリを介して各AIサービスと通信する設計になっており、プロバイダーの切り替えが設定変更だけで済むようになっています。現時点ですでにOpenAI・Google・Anthropicの3社向けプロバイダーパッケージがWordPressプラグインディレクトリで公開されています。
セキュリティ上の注意: Connectors画面で保存したAPIキーは画面上ではマスク表示されますが、データベース上では暗号化されていません。本番環境での利用時はこの点を念頭に置いてください。
Abilities API(アビリティーズAPI)
「このサイトには何ができるか」をAIに伝えるための仕組みです。たとえば、あるプラグインが「画像のalt属性を自動生成できます」という能力を登録しておけば、AIアシスタントがその能力を発見して自動的に活用できるようになります。
一般ユーザーへの影響は?
正直なところ、WordPress 7.0がリリースされた直後に一般ユーザーがAI機能を体感する場面は限られます。しかし、この基盤が整ったことで、今後リリースされるプラグインが統一的にAI機能を提供できるようになります。
近い将来、記事の下書きからSEOに最適化されたメタディスクリプションを自動生成、画像をアップロードしたら自動でalt属性が付与される、既存記事の翻訳やリライト提案、サイトの構造分析に基づく内部リンク提案――といったAI支援がプラグインを通じて利用できるようになるでしょう。
待望の新ブロックとデザイン機能
アイコンブロック、パンくずブロック、動画背景カバー、レスポンシブGridなど、これまでプラグインがないと実現できなかった表現が標準ブロックだけでできるようになります。パターンのContent-Only編集モードも導入され、コンテンツ担当者がデザインを壊しにくくなります。
アイコンブロック(Icons Block)
SVG形式のアイコンをコンテンツ内のどこにでも挿入できるブロックです。これまでFont Awesomeなどの外部プラグインやテーマ独自の機能に頼るしかなかったアイコン表示が、WordPress標準で対応するようになります。
アイコンはSVG登録APIを通じて管理されるため、将来的にアイコンセットの拡充も期待できます。現時点のアイコンライブラリはFont Awesomeほど豊富ではありませんが、一般的なサイト運営で使う主要なアイコンは揃っています。
パンくずブロック(Breadcrumbs Block)
サイトの階層構造を示す「パンくずリスト」を簡単に設置できるブロックです。
パンくずリストはSEO(検索エンジン最適化)の観点から非常に重要です。Googleなどの検索エンジンがサイト構造を理解しやすくなり、検索結果にパンくずが表示される可能性も高まります。また、ユーザーがサイト内を迷わず移動できるナビゲーションとしても有用です。
WordPress 7.0のパンくずブロックは、アーカイブページ、404ページ、検索結果ページ、ページネーション付きページなど、さまざまなページタイプに対応しています。さらにtheme.jsonに準拠しているため、テーマのグローバルスタイルに自動的に合わせた表示が可能です。
カバーブロックに動画埋め込み背景
これまでカバーブロックの背景には静止画しか設定できませんでしたが、WordPress 7.0では動画埋め込み(YouTube、Vimeoなど)を背景として使えるようになります。ヒーローセクションやランディングページで、動きのあるリッチな表現が手軽に作れるようになります。
レスポンシブ対応Gridブロック
Gridブロックがレスポンシブ対応を完了し、安定版として正式に搭載されます。画面サイズに応じてカラム数やレイアウトが自動的に調整されるため、PC・タブレット・スマートフォンそれぞれで最適な表示になります。従来はCSSの知識がないと調整が難しかったグリッドレイアウトが、ノーコードで実現できるようになります。
ギャラリーブロックにライトボックス対応
画像ギャラリーの画像をクリックすると、オーバーレイ(画面を暗くして画像を大きく表示する機能)で拡大表示され、そのまま次の画像へナビゲートできるようになります。写真ブログやポートフォリオサイトでは待望の機能ではないでしょうか。
見出しブロックの強化
H1〜H6の各見出しレベルがブロックバリエーション(変換候補)として登録されるようになりました。ツールバーやサイドバーにレベル切替アイコンが表示され、ワンクリックでH2からH3に変更するといった操作がスムーズになります。
記事の見出し構造はSEOにおいて非常に重要です。この改善により、適切な見出し階層をすばやく構築できるため、検索エンジンにもAIにも正しく構造を理解してもらえる記事が書きやすくなります。
ナビゲーションブロックの改善
モバイルでのハンバーガーメニュー(≡ マーク)のオーバーレイ表示が大幅にカスタマイズ可能になります。ブランドロゴやCTA(行動喚起ボタン)、画像などを自由に配置でき、テンプレートパーツとして保存できます。企業サイトのモバイルメニューをぐっと見栄えよくできるでしょう。
Playlistブロックに波形表示機能が追加
Gutenberg 22.8(WordPress 7.0に向けた最終Gutenbergリリースの一つ)で、Playlistブロックに音声波形の可視化(waveform visualization)機能が追加されました。音声ファイルを再生しながら波形がビジュアルで表示されるため、ポッドキャストや音声コンテンツのサイトでより魅力的な表現が可能になります。
パターンのContent-Only編集モードがデフォルトになります
WordPress 7.0では、ブロックパターン(複数のブロックをまとめたテンプレート)の編集モードが「Content-Only(コンテンツのみ)編集モード」をデフォルトとして動作するようになります。
このモードでは、パターン内のブロックがまとめて整理されたUIで表示され、テキストや画像などコンテンツ部分だけを編集しやすいシンプルな見た目になります。デザインの構造を誤って壊してしまうリスクが減るため、特にコンテンツ担当者にとって使いやすくなります。
パターンの構造ごと編集したい場合は「パターンをデタッチ」することで、これまで通りすべてのブロックにフルアクセスできます。
【追記】カスタムブロックにも対応:Gutenberg 22.8より、パターンオーバーライドがコアブロックだけでなくカスタムブロックにも対応しました。独自のカスタムブロックを含む同期パターンでも、インスタンスごとにコンテンツを差し替えられるようになります。
フォントライブラリが全テーマで利用可能に
WordPress 6.xでは一部のブロックテーマでしか使えなかったフォントライブラリが、7.0ではテーマの種類にかかわらずすべてのテーマで利用可能になります。Google Fontsの検索・追加・管理が管理画面から直接行えます。
管理画面の「外観 → フォント」メニューから、Google Fontsなどのフォントを検索・追加し、サイト全体に適用できます。日本語フォントの選択肢も広がるため、サイトの個性を表現しやすくなるはずです。
レスポンシブ対応が劇的に簡単に
「このブロックはPCでは表示するけどスマホでは非表示にする」といった設定が、CSSやプラグインなしでブロック単位で設定できるようになります。なお、画像アップロード時のブラウザ処理はRC1の段階で品質問題が見つかり7.0からは除外されました。
ビューポート別ブロック表示切り替え
WordPress 7.0で導入される「ビューポートベースのブロック表示制御」は、地味ながら非常にインパクトのある機能です。
活用例としては、PC向けの詳細な比較表はPC表示のみにしスマホでは簡潔なリストを表示、モバイルユーザー向けに「電話で問い合わせ」ボタンをスマホのみで表示、大きなインフォグラフィックはPC表示のみにしモバイルではテキスト版を表示――といったケースが考えられます。
クライアントサイドメディア処理
【追記】クライアントサイドメディア処理は WordPress 7.0 から除外されました
「画像アップロードをブラウザ側で処理することでアップロードが速くなる」と紹介していましたが、RC1のリリース準備中に重大な品質問題が判明し、WordPress 7.0のリリース対象から外れました。
問題の内容:Automatticのウェブパフォーマンスエンジニアによる検証で、M4 Pro MacBook Proという高性能な環境でもJPEGの処理に約19秒、AVIFでは29〜55秒かかることが判明しました。同種の処理を行う他のツールが3秒未満で完了しているのと比べて著しく遅く、実用水準に達していないと判断されました。また、現時点ではChromiumベース(Chrome・Edge)のブラウザのみの対応でSafari・Firefoxでは動作しないこと、パッケージサイズが約13MB増加することも除外の理由に挙げられています。
将来のバージョンでの実装が期待されます。
アップデート前の準備チェックリスト
WordPress 7.0は管理画面やエディタに大きな変更が入るため、過去のアップデートよりプラグイン・テーマとの互換性問題が起きやすい可能性があります。PHP 7.4以上への確認、ステージングテスト、完全バックアップ、キャッシュクリアの4点を事前に準備してください。まずWordPress 6.9.4のセキュリティアップデートの適用が必須です。
まず WordPress 6.9.4 へのアップデートが必要です
WordPress 7.0 へのアップデート前に、現在お使いのサイトを WordPress 6.9.4 に更新してください。これはセキュリティ上、非常に重要な手順です。
2026年3月10〜11日の約24時間以内に、6.9.2 → 6.9.3 → 6.9.4 と3つのリリースが連続して行われました。6.9.2でまず10件のセキュリティ問題を修正しましたが、修正が不完全なままリリースされていたことが判明し、6.9.3・6.9.4で追加修正が行われたものです。
6.9.4 で修正された主な脆弱性(3件):
PclZipのパストラバーサル(ZIPファイル展開時に意図しない場所へのファイル書き込みが可能になる脆弱性)、Notes機能の認可バイパス(権限の低いユーザーが上位ロール向けのNotes操作を実行できてしまう脆弱性)、getID3ライブラリのXXEインジェクション(メディアファイルを処理する際に外部XMLを読み込まれる可能性がある脆弱性)の3件です。
WordPressダッシュボードの「更新」から 今すぐ 6.9.4 を適用 してください。自動更新が有効なサイトはすでに適用済みの場合があります。
チェック1:PHPバージョンを確認する
WordPress 7.0では最低動作環境がPHP 7.4に引き上げられます。PHP 7.2やPHP 7.3を使っている場合、アップデート後にサイトが動かなくなるおそれがあります。
レンタルサーバーのコントロールパネルで現在のPHPバージョンを確認し、必要に応じてアップグレードしてください。主要なレンタルサーバー(エックスサーバー、ConoHa WING、さくらのレンタルサーバなど)はPHP 8.x系に対応済みです。
推奨PHPバージョンが PHP 8.5 に更新されました
WordPress 7.0はPHP 8.5のベータサポートを導入する最初のメジャーリリースです。コアチームはDataViewsの管理画面など新機能のパフォーマンスを最大限に活かすためにPHP 8.5を推奨しています。最低要件はPHP 7.4ですが、可能であれば PHP 8.1 以上、理想は PHP 8.5 へのアップグレードをご検討ください。
チェック2:ステージング環境でテストする
本番サイトをいきなりアップデートするのはリスクがあります。必ずステージング環境(テスト用のコピーサイト)を用意し、そこで先にWordPress 7.0を試してください。多くのレンタルサーバーにはワンクリックでステージング環境を作れる機能があります。
チェック3:プラグインの互換性を確認する
特に以下のプラグインは影響を受けやすいため、重点的に確認しましょう。
- 管理画面のCSSをカスタマイズしているプラグイン
- 投稿一覧やページ一覧の表示を変更しているプラグイン
- 独自のエディタ機能を提供しているプラグイン
- 2024年以降更新されていないプラグイン
- 【追記】カスタムブロックを提供しているプラグイン ― WordPress 7.0はReact 18からReact 19にアップグレードされます。古いReact APIに依存したカスタムブロックプラグインで予期しない動作が起きる可能性があります。使用中のカスタムブロック系プラグインがReact 19対応を表明しているか確認しておきましょう
- 【追記】メタボックスを使用するプラグイン ― Yoast SEO・Rank Mathなどのカスタムフィールド・SEOプラグインが使う「メタボックス」が存在する投稿では、リアルタイムコラボレーションが自動的に無効になります。共同編集を活用する予定がある場合は、使用中のプラグインの対応状況を確認してください
チェック4:完全バックアップを取る
ファイルとデータベースの両方を含む完全バックアップを、アップデート前に必ず取得してください。万が一の問題が発生しても、バックアップから復元できます。BackWPupやUpdraftPlusなどのバックアッププラグインの利用がおすすめです。
チェック5:キャッシュ系プラグインの設定を確認する
管理画面のデザインが変更されるため、キャッシュ系プラグインが古いCSSやJavaScriptを配信し続ける可能性があります。アップデート後はキャッシュの全クリアを忘れずに行いましょう。
キャッシュの全層クリアの手順は「WordPressでCSS更新が反映されない|キャッシュ5層の切り分け」で解説しています
よくある質問(FAQ)
WordPress 7.0のアップデートに関してよく聞かれる疑問に、一問一答形式で回答します。
Q. WordPress 7.0の正式リリースはいつになりますか?
A. 当初の2026年4月9日リリースは延期されました。新しいリリーススケジュールは2026年4月22日までに公式発表される予定です。延期の理由はリアルタイムコラボレーション機能のデータベースアーキテクチャの見直しで、延期期間は数週間(3〜4週間)と見込まれています。現在の安定版はWordPress 6.9.4です。
Q. WordPress 7.0に新しいデフォルトテーマは付属しますか?
A. WordPress 7.0には新しいデフォルトテーマ(Twenty Twenty-Six)は付属しない見込みです。既存のTwenty Twenty-Fiveテーマをサイトエディタで活用する方針が取られています。
Q. リアルタイム共同編集は格安の共有サーバーでも使えますか?
A. 基本的なHTTPロングポーリング方式であれば、大半のレンタルサーバーで動作します。ただし、共有サーバーでは2名が同時編集するだけで1分間に約480回のHTTPリクエストが発生するため、負荷が高い時間帯では遅延が生じることがあります。また、デフォルトの同時編集者数は2名に制限されています。なお、リアルタイム共同編集は7.0正式リリース時にはデフォルト「オフ」です。「設定 → 投稿」から有効にしてご利用ください。
Q. 既存のプラグインはそのまま動きますか?
A. 多くのプラグインはそのまま動作しますが、以下のプラグインは特に注意が必要です。(1)投稿一覧・ページ一覧・メディア画面の表示をカスタマイズしているプラグインはDataViews移行の影響を受けやすい。(2)カスタムブロックを提供しているプラグインはReact 19へのアップグレードで影響が出る可能性があります。(3)メタボックスを使用するプラグイン(Yoast SEOなど)が有効な投稿ではリアルタイムコラボレーションが使えません。
ポストエディタの常時iframe化は WordPress 7.1 へ延期
「ポストエディタの常時iframed化」は7.0での実装が見送られ、WordPress 7.1 に先送りとなりました。これはブロックのスクリプトやCSSがiframe内で動作する際の互換性を慎重に確認するための措置です。なお、Gutenbergプラグインを有効化している環境では引き続きiframe化が適用されます。独自ブロックを開発・利用している場合は、7.1リリースに向けて移行ガイドを確認しておくことをおすすめします。
Q. WordPress 7.0のAI機能を使うのに費用はかかりますか?
A. WordPress 7.0が提供するのはAIとの連携基盤(API)であり、AI機能そのものは含まれていません。実際にAI機能を使うには、AIサービスのAPIキーを自分で取得して設定する必要があります。AIサービスの利用料金は各プロバイダーの料金体系に依存します。
Q. 個人ブログですが、アップデートすべきですか?
A. セキュリティの観点からも、メジャーアップデートへの追従は推奨されます。ただし、リリース直後に飛びつくのではなく、7.0.1や7.0.2などのバグ修正版が出てから更新するのもひとつの賢い選択です。
WordPress 7.0ではブロックエディタがさらに進化していますが、クラシックエディタを使い続けている方も多いはずです。クラシックエディタでビジュアル/テキストを切り替えたときにHTMLが崩れる問題と対策は以下の記事で解説しています。
まとめ ― WordPress 7.0は「チームのためのWordPress」
WordPress 7.0は「ひとりで書くCMS」から「みんなで作るプラットフォーム」への進化です。リアルタイム共同編集・AI基盤・管理画面リフレッシュ・新ブロックが一斉に登場します。当初の4月9日リリースは延期されましたが、新スケジュールは4月22日までに発表予定。この期間を準備に充てておきましょう。
WordPress 7.0の新機能をまとめると、以下のようになります。
| カテゴリ | 主な新機能 | 誰にとって重要? |
|---|---|---|
| コラボレーション | リアルタイム共同編集(同時2名・初期オフ・メタボックス非対応投稿では無効)、Notes強化 | チーム運営サイト |
| 管理画面 | デザインリフレッシュ、ビュートランジション、コマンドパレットOmnibar統合 | すべてのユーザー |
| AI基盤 | WP AI Client、Connector機能、Abilities API | 将来のAI活用に期待する人 |
| 新ブロック・デザイン | アイコン、パンくず、動画背景カバー、パターンContent-Only化 | すべてのサイト運営者 |
| レスポンシブ | ビューポート別表示制御、Gridブロック安定化 | モバイル対応を重視する人 |
| リビジョン | ビジュアルリビジョン比較(色分け表示) | デザイン重視のサイト |
2018年のGutenberg導入が「書く」体験を変えたとすれば、2026年のWordPress 7.0は「一緒に作る」体験を変えるアップデートと言えるでしょう。個人ブロガーにとっては管理画面の快適さや新しいブロックの恩恵がすぐに実感でき、チームで運営するメディアにとってはワークフロー全体が革新される可能性を秘めています。
【追記】リリース日は延期されました
2026年4月9日の正式リリースは見送られ、新スケジュールは2026年4月22日までに発表予定です(延期理由はリアルタイムコラボレーションのデータベースアーキテクチャ見直し)。リリース日確定後に改めてお知らせします。
まずは WordPress 6.9.4 のセキュリティアップデートを適用し、PHPバージョンの確認やバックアップの準備を今のうちから進めておきましょう。正式リリースまでの期間を、ステージング環境でのテストやプラグイン・テーマの互換性確認に活用してください。







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