ある日ふとMacを開いたら、時計が数ヶ月ズレている。
「まぁ自動で直るでしょ」と思って「日付と時刻を自動的に設定」をONにしても、なぜか直らない。
しかも、同期が効かないせいか、Webやアプリの挙動がおかしい——ログインが通らない、証明書エラーが出る、アップデートが進まない……。
これ、焦りますよね。
でも結論から言うと、直せます。
この記事では、初心者でも迷いにくい順番で「原因の切り分け → 直し方」をまとめます。途中でターミナル操作も出てきますが、それは最終手段として後半に置いてあるので、まずは簡単な方法から試してみてください。
時計がズレると、なぜ困るのか
macOSの時刻は、ファイルのタイムスタンプだけでなく、ログインや通信の認証にも使われています。特にHTTPS(暗号化通信)では、SSL/TLS証明書の有効期限を「現在時刻」と照合するため、時計が大きくズレるとネットに繋がっているのに「接続できません」という状態になりがちです。
Appleコミュニティでも「日付が大きくズレるとインターネット接続がうまくいかない」という報告が複数見られます。
こんな症状が出ていたら、この記事の出番
- 日付が数週間〜数ヶ月ズレている
- 「日付と時刻を自動的に設定」をONにしても戻らない
- time.apple.com や地域のNTPサーバを指定しても直らない
- 再起動するとまたズレる、または一度戻ってもすぐズレる
- 何かの拍子に「2019年」のような過去の日付に飛ぶ
よくある原因(初心者向けにざっくり解説)
原因は1つとは限りません。よくあるのは以下のパターンです。
1. ネットワーク側の制限
NTPは一般的にUDPの123番ポートを使います。企業Wi-Fi、公共Wi-Fi、セキュリティが厳しめのルーター、VPNなどで、このポートがブロックされていると同期に失敗します。
2. 時刻設定が「自動」に見えて、実は噛み合っていない
タイムゾーンが違う国に設定されている、位置情報サービスがOFFになっている、NTPサーバの指定が空欄になっている……など、設定項目のどこかがズレているケースです。
3. 時刻同期の設定データが壊れている
これがやや厄介で、「自動をONにしても戻る」「再起動でまたズレる」というパターンの人がハマりやすいです。このケースは後半の「最終手段」が効くことがあります。
4. 内蔵バッテリーの劣化(古いMacの場合)
古いMacBook や Mac mini などでは、内蔵のバックアップバッテリー(CMOSバッテリー相当)が劣化すると、電源を切っている間に時刻がリセットされることがあります。この場合はハードウェア的な対応が必要になります。
直し方:初心者向け・やさしい順番で
手順0:まず深呼吸して再起動
いきなり地味ですが、まず再起動しましょう。「何となく直った」ケースもありますし、次の切り分けがラクになります。
手順1:ネットが本当に使えているか確認
Safariで適当なページが開けるか確認します。開けないなら、まずWi-Fiを切り替えたり、ルーターを再起動したり、スマホのテザリングに切り替えて試すと、原因を一気に絞り込めます。
コツ:自宅Wi-FiでダメだけどスマホテザリングでOKなら、macOSの問題ではなく「ネットワーク側(ルーター/回線/フィルタ)」の可能性が高いです。
手順2:設定アプリで「自動」を入れ直す
macOS Ventura以降であれば、以下の手順で設定を確認・再設定します。
- システム設定を開く
- サイドバーから「一般」→「日付と時刻」を選択
- 「日付と時刻を自動的に設定」をONにする
- 「ソース」の欄にネットワークタイムサーバを入力する
- 「現在の位置情報に基づいて、時間帯を自動的に設定」もONにする
Apple公式のサポートページでも、この流れが案内されています。
NTPサーバは何を指定すればいい?
- まずは定番の time.apple.com
- 日本国内なら、NICT(情報通信研究機構)が提供する ntp.nict.jp もおすすめです。日本標準時に直結したサーバとして公開されています。
手順3:一度だけ手動で正しい時刻に合わせる
時計が数ヶ月もズレていると、NTPサーバとの「ズレ幅」が大きすぎて同期が成立しないことがあります。その場合は、いったん手動で「だいたい正しい」時刻に戻すのが近道です。
- 「日付と時刻を自動的に設定」をOFFにする
- 日付と時刻を、現在に近い値へ手動で設定する
- ネット接続が安定したら、「自動」をONに戻す
Appleコミュニティでも「手動で合わせてからmacOSをアップデート → その後に自動ONで改善した」という報告があります。
手順4:Wi-Fi / VPN / セキュリティソフトの影響を疑う
NTPは通常UDPの123番ポートを使います。ここがブロックされていると、macOSを「自動」にしても同期できません。
- VPNを使っている → 一度VPNを切って試す
- 会社・学校・公共Wi-Fiを使っている → 別の回線(テザリングなど)で試す
- セキュリティソフトやMDMプロファイルがある → 一時的に無効化できるなら試す
ここで直るなら、macOS自体の問題ではなく「ネットワーク側の制約」が原因です。
手順5:SMCリセット / NVRAMリセットを試す(Intel Macの場合)
Intel搭載のMacでは、SMC(システム管理コントローラ)やNVRAM(旧称PRAM)のリセットで改善することがあります。
- SMCリセット:電源管理に関する問題をリセット
- NVRAMリセット:時刻、音量、画面解像度などの設定をリセット
手順はMacの機種によって異なるため、Appleの公式サポートページを参照してください。
注意:Apple Silicon(M1/M2/M3/M4)搭載のMacには、従来のSMC/NVRAMリセットはありません。再起動で同等の処理が行われます。
ここまでで直らない人へ:最終手段(ターミナル操作あり)
ここからは少し踏み込んだ操作になります。無理に試す必要はありませんが、「数ヶ月ズレる」「再起動で戻る」「NTPが効かない」という典型症状であれば、ここで直ることがあります。
最終手段A:現在の設定をターミナルで確認する
まずは現状を確認するだけの操作です。ターミナルを開いて、以下を入力します(コピペOK)。
sudo systemsetup -getusingnetworktime
sudo systemsetup -getnetworktimeserver
systemsetupはmacOSのシステム設定をコマンドで操作するツールです。NTPの有効/無効や、設定されているサーバを確認できます。
最終手段B:NTPサーバを指定して「自動」を入れ直す
GUIで設定しても反映されない場合、コマンドで直接設定すると直ることがあります。
日本向けの例(NICT):
sudo systemsetup -setnetworktimeserver ntp.nict.jp
sudo systemsetup -setusingnetworktime on
Appleのサーバに戻す例:
sudo systemsetup -setnetworktimeserver time.apple.com
sudo systemsetup -setusingnetworktime on
最終手段C:sntpで「今すぐ同期」を実行する
sntpはNTP/SNTPサーバに問い合わせて時刻を取得・設定するコマンドです。-sオプションを付けると、時刻を即座に合わせます(ステップ同期)。
sudo sntp -s ntp.nict.jp
成功すると、時刻のズレ(オフセット)が表示され、時計が正しい時刻に戻ります。
最終手段D:timedの設定ファイルをリセットする
この症状の「最後の砦」がこれです。macOSの時刻同期デーモン timed が参照する設定ファイルが壊れていると、何をしても同期が効かないことがあります。
Appleコミュニティでは、/var/db/timed/com.apple.timed.plist を削除(または移動)すると直ったという報告が複数あります。
削除が不安なら、まず「移動」で退避する方法がおすすめです(元に戻せます):
sudo mv /var/db/timed/com.apple.timed.plist ~/Desktop/
sudo reboot
再起動後に、システム設定 → 一般 → 日付と時刻で「自動」をONに戻してください。新しい設定ファイルが自動生成され、正常に同期できるようになるはずです。
注意:このファイルはシステム領域にあるため、操作には管理者権限が必要です。不安な場合は無理に試さず、Apple正規サポートに相談することをおすすめします。
直ったあとにやっておくと安心なこと
- macOSを最新バージョンにアップデートする(時刻同期に関する不具合が修正されていることがあります)
- 「日付と時刻を自動的に設定」と「タイムゾーン自動」がONになっているか確認する
- 会社や学校のネットワークで発生した場合は、ネットワーク管理者に「NTP(UDP 123番ポート)がブロックされていないか」を確認してもらう
まとめ:コツは「簡単な順に、原因を潰していく」こと
時計のズレは地味ですが、放置するとあらゆる操作に支障が出てストレスになります。落ち着いて、以下の順番で試してみてください。
- 再起動する
- 設定アプリで「自動」を入れ直す
- 一度だけ手動で正しい時刻に合わせてから、自動に戻す
- ネットワーク環境(VPN / Wi-Fi / セキュリティソフト)を疑う
- SMC / NVRAMリセットを試す(Intel Macのみ)
- それでもダメならターミナルで最終手段
この順番で進めれば、かなりの確率で復旧できるはずです。


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