この記事は “いま困っている人が、最短で復旧できる” ことを最優先にまとめています。
ただし、環境によって挙動が違うこともあるので、重要データがある方は 既存バックアップを消さず、できれば別媒体にも退避してから進めてください。
先に結論(TL;DR)
- macOS Tahoe(macOS 26)にアップグレード後、NAS(Synology/QNAPなど)へのTime Machineが途中で切れて「バックアップディスクがありません」 になる報告が増えています。
- 原因の本命は、macOS 26 側の Unicode 正規化(NFD/NFC)絡みの不整合。とくに 「日本語(濁点/半濁点)」や「アクセント付き文字」 が、バックアップ名やパスに混ざると起きやすいです。
- macOS 26.2(2025年12月リリース)でも未修正。当面はユーザー側の回避策が必要です。
- いちばん効く回避策はこれ:
- Macのコンピュータ名を英数字にする
- NAS側の共有フォルダ名も英数字にする
- 既存のバックアップ(
.sparsebundle)を使うなら、中のボリューム名も英数字にする
実体験:私の「突然死」ケース(導入)
私もやられました。
Synology NASをTime Machineのバックアップ先にしていて、長いこと安定運用できていました。
ところが macOS Tahoe(macOS 26)へアップグレードした直後、いつも通りにバックアップが走る…と思ったら、
- Time Machineが「バックアップの準備中」や「バックアップ作成中」で止まる
- しばらくすると通知に 「バックアップディスクがありません」
- でもNAS側を見ると、
xxxxxxのバックアップみたいな名前のイメージ(または同種のデータ)が増えている(= 途中までは作られていそうなのに、最後まで完走しない)
という、いちばん精神にくるパターン。
ポイントはここで、私の環境では バックアップの名前が「xxxxxxのバックアップ」 になっていました。
この “日本語を含む名前” がトリガーになっている可能性が高い、というのが今回の話です。
何が起きている?(症状を整理)
よくある症状は次のいずれか(複合もあります)。
- ✅ NASはFinderから普通に開ける(SMB接続できる)
- ❌ Time Machineだけが失敗する
- ❌ 「バックアップディスクがありません」
- ❌ 「バックアップを完了できませんでした」系
- ❌ 「バックアップの準備中」から進まない/途中で止まる
- ✅ NAS側には
.sparsebundleが作られている(増えている)ことがある
つまり、NASが壊れたわけでも、SMBが死んだわけでもないのに、Time Machineだけが落ちる。
この問題は Synology、QNAP、その他のNAS製品で広く報告されています。特定メーカーの問題ではなく、macOS側の不具合です。
原因(最有力):Unicode正規化(NFD/NFC)のズレ
この手のトラブルで一番やっかいなのが、見た目が同じ文字なのに、中身(バイト列)が違うというやつです。
Unicode正規化って何?(ざっくり)
たとえば日本語の「が」は、内部的に
- ①「が(1文字)」として扱う(合成:NFC)
- ②「か」+「゙(濁点)」の2文字として扱う(分解:NFD)
のどちらにもなり得ます。見た目は同じでも「別物」です。
そして今起きているのは、
- macOS 26 Tahoe のTime Machine(またはSMB周り)がNFD/NFCの扱いでズレたパス(ファイル名)を参照してしまい、
- NAS上に存在するはずのバックアップを 「見つからない」扱いして「バックアップディスクがありません」 になっている
…という筋の通る説明です。
どうして「xxxxxxのバックアップ」みたいな名前が危ない?
Time Machineはバックアップ作成の過程で、バックアップ先に関連する名前(ホスト名・ボリューム名・共有名など)を使います。
そこに 日本語・濁点・半濁点・アクセント文字 が混ざると、NFD/NFCのズレが起きやすくなり、結果として “あるのに無い” 状態になりがちです。
ちなみに、この問題は日本語環境だけでなく、ドイツ語(ä, ö, ü)やフランス語(é, è)などアクセント付き文字を使う言語環境でも報告されています。
現状:アップデートで直ってる? → macOS 26.2でも未修正
NASメーカーの公式見解
SynologyとQNAPはそれぞれ公式にこの問題について言及しており、いずれもmacOS側の問題として回避策を提示しています。
QNAPの公式FAQ:
macOS 26 (Tahoe) にアップデートした後、QNAP NAS への Time Machine バックアップが完了しないことがあります。これは通常、Mac のコンピュータ名、バックアップファイル名、または共有フォルダパスに特殊文字や非 ASCII 文字(アクセント付き文字(ä, ø, é)や非ラテン文字(中国語、日本語、韓国語))が含まれている場合に発生します。
Synologyコミュニティでも同様の報告と回避策が共有されています。
Appleの対応は?
2025年12月12日にリリースされた macOS 26.2 Tahoe(ビルド25C56)でも本不具合は修正されていません。
SynologyやQNAPなどのNASメーカーはAppleにフィードバックを送っていますが、英語(ASCII文字)以外の環境で起きている問題のため、残念ながら修正の優先度は高くないようです。
そのため現実的には、Apple側の修正を待つよりも、いったん “名前から非ASCIIを排除する” 回避策が一番早いです。
対策:最短で効く順に(おすすめルート)
ここからは おすすめ順(成功率が高い順) に書きます。
全部やる必要はなく、上から順に試してください。
対策1:Macの「コンピュータ名」を英数字にする(最重要)
まず最初にここ。体感で一番効きます。
手順
- システム設定
- 一般
- 情報
- 名前(= コンピュータ名)を英数字に変更
命名ルール(おすすめ)
- 例:
Miyaguchi-MacBookPro/MyMac-TM/MBP2020など - 使ってOK:英字、数字、ハイフン
-、アンダースコア_ - 避ける:日本語、スペース、記号(特に
・( )など)
ここで変えた名前が、Time Machineの生成物や参照名に影響します。
対策2:NAS側の「共有フォルダ名」を英数字にする
Time Machine用の共有フォルダ(例:Time Machine や バックアップ など)が日本語だと危険度が上がります。
目標
- 共有フォルダ名:
TimeMachineやtmなど 英数字に - 共有フォルダのパス配下も、可能なら英数字中心に
例(おすすめ構成)
- 共有フォルダ名:
TimeMachine - Macごとの格納先(必要なら):
MBP2020/iMacなど
Synology DSMでの設定
- DSM管理画面にログイン
- コントロールパネル → 共有フォルダ
- Time Machine用フォルダの名前を英数字に変更
QNAP QTSでの設定
- QTS管理画面にログイン
- コントロールパネル → 共有フォルダ
- Time Machine用フォルダの名前を英数字に変更
NASでTime Machine設定をしている場合も、“共有フォルダ名” と “表示名” を英数字に寄せるのがコツです。
対策3:いったん「バックアップ先を解除 → 再設定」する
名前を変えたのに直らない場合、Time Machineが古い参照を握っていることがあります。
手順
- システム設定 → 一般 → Time Machine
- バックアップディスク(NAS)を選択
- 削除(解除)
- もう一度 ディスクを追加 して選び直す
このとき、既存バックアップが見つかる場合は「引き継ぎ」に相当する挙動になることがあります。
ただし、環境によっては引き継ぎできず、新規扱いになることもあります。
対策4:既存の .sparsebundle を生かす場合(ボリューム名を英数字に)
「バックアップ作り直しはキツい…」という人向け。
NAS上のTime Machineバックアップは .sparsebundle という”ディスクイメージ”になっていて、その中に「ボリューム名(ディスク名)」があります。
この ボリューム名に日本語や特殊文字が入っていると失敗するケースがあるので、英数字にします。
GUIでの安全なやり方(おすすめ)
- FinderでNAS(SMB)に接続
- Time Machine用共有フォルダ内の
.sparsebundleを探す .sparsebundleをダブルクリックして マウント- ディスクユーティリティ を開く
- 左側の一覧から、マウントされたTime Machineディスクを選ぶ
- ボリューム名を英数字に変更(例:
Backups of MacBook) - 取り外し → Time Machine再実行
重要なポイント
ボリューム名は単なる英語ならOKというわけではなく、「Backups of ○○」の形式にすると成功率が上がります。
これはTime Machineがデフォルトで生成する本来の英語ボリューム名です。日本語環境では「○○のバックアップ」とローカライズ表示されますが、内部的には「Backups of ○○」が正式名称です。
ここが刺さると、「あるのに無い」状態が解消して完走することがあります。
暫定対策:AFP接続を使用する(非推奨だが一時的には有効)
一部のユーザーから、SMBではなくAFP(Apple Filing Protocol)接続で問題を回避できたという報告があります。
Synology DSMでの設定
- コントロールパネル → ファイルサービス
- AFPタブでAFPサービスを有効化にチェック
QNAP QTSでの設定
- コントロールパネル → ネットワーク&ファイルサービス
- Win/Mac/NFS → Apple Networking
- AFPサービスを有効化にチェック
重要な注意事項
Appleは公式にAFPの非推奨を発表しています。
AFP(Apple Filing Protocol)経由でのNASデバイスへのTime Machineバックアップは推奨されません。AFPは今後のmacOSのバージョンで非対応になります。
AFPは一時的な回避策としてのみ使用し、macOSのアップデートで問題が修正され次第、SMB接続に戻すことを強く推奨します。
事故防止:やってはいけない/注意したいこと
❌ 既存バックアップを”いきなり削除”しない
原因がOS側の不具合っぽいので、焦って消すと詰みます。
✅ まずは外付けストレージに退避もアリ
今すぐ確実なバックアップが必要なら、いったん外付けSSD/HDD(直結)に逃がすのが安全です。
✅ “日本語のフォルダ名” をNAS全体で禁止にする必要はない(が…)
日常利用の共有フォルダまで全部英語にしなくてもいいですが、少なくとも Time Machineに関わる経路(共有名・パス・ボリューム名)は英数字化が有利です。
よくある質問(FAQ)
Q. SMB接続で普通にNASが使えるのに、なぜTime Machineだけ壊れる?
A. Time MachineはSMB共有を「普通のファイル保存」以上に厳密に扱う(メタデータ・パス解決・イメージ運用など)ため、Unicode正規化のズレみたいな”地味な差”で破綻しやすいです。
Q. 「xxxxxxのバックアップ」みたいな名前はどこで決まってる?
A. Macのコンピュータ名、ボリューム名、言語環境、Time Machineが生成するラベル等が絡みます。今回みたいな不具合があるときは、とにかく 英数字に寄せるのが強いです。
Q. 直ったら日本語名に戻していい?
A. Apple側が修正した後なら戻せる可能性はありますが、また壊れるリスクもあるので、当面は英数字運用が無難です。
Q. SynologyとQNAPで違いはある?
A. 基本的にはどちらも同じ問題が発生します。ただし、環境によって挙動が異なる場合があります。バックアップボリューム作成時のUnicode正規化形式の違い(最初からNFD形式で作成されていたかなど)が影響している可能性があり、一部の環境では問題なく動作しているケースも報告されています。
まとめ
- macOS Tahoe(macOS 26)以降、NAS(Synology/QNAP含む)へのTime Machineで「バックアップディスクがありません」 が出るケースがある
- 原因はOS側の Unicode正規化(NFD/NFC)絡みの不整合 が濃厚
- macOS 26.2でも未修正のため、当面はユーザー側での回避策が必要
- 最短で効く回避策は「Time Machineに関係する”名前”を英数字だけにする」
- Macのコンピュータ名
- NASの共有フォルダ名
- (必要なら)
.sparsebundle内のボリューム名
私もこれで復旧方向に持っていけました。
同じ症状の人は、まずは コンピュータ名の英数字化 から試してみてください。
参考リンク(本記事の背景情報)
- Apple Community(日本語) – macOS Tahoe – アップグレード後QNAPのNASでTime Machineバックアップできなくなった
- AAPL Ch. – macOS 26.2でも未修正
- Synology Community – Time Machine backup issues on macOS 26 Tahoe
- Apple Community(英語) – Timemachine Back-up in MacOS 26 (Tahoe) does not work on Synology DS920+ NAS
- QNAP公式FAQ – macOS 26 (Tahoe) にアップデートした後、なぜ Time Machine を使用して QNAP NAS にバックアップできないのですか?


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