はじめに:Codex CLIは「ターミナルで動くAI作業パートナー」
Codex CLIは、単なる「ターミナルで会話できるAI」ではありません。コードレビュー・修正・自動化まで一気にこなせる、開発者のための”作業用ツール”です。
とはいえ、最初は「結局どのコマンドを使えばいいの?」「どこから触ればいいの?」と迷いがち。そこでこの記事では、「やりたいこと」→「これを使う」の形式で、逆引きできる辞典としてまとめました。
設定周り(config.toml / MCP / AGENTS.md / Custom Prompts)については、次の記事「Codex CLI 設定ガイド」で詳しく解説します。まずはこの記事で、Codex CLIの「手触り」を掴んでください。
0. 最速で使う:最小ルーティン(迷ったらこれだけ)
Codex CLIを初めて使う方は、最初の1週間はこの3ステップだけでOKです。余計なことは考えず、まずはこの型を体に染み込ませましょう。
ステップ1:リポジトリで起動する
cd /path/to/repo
codex
作業したいプロジェクトのディレクトリに移動して、codexコマンドを実行するだけ。これで対話セッションが始まります。
ステップ2:まず「聞く」ことから始める
いきなり「直して」ではなく、まずは質問から入るのがコツです。
- 「このリポジトリの構造をざっくり説明して」
- 「テストの実行方法を探して」
- 「このバグの原因候補を3つ挙げて」
- 「この関数の役割を教えて」
Codexにプロジェクトの全体像を把握させつつ、自分も状況を整理できます。
ステップ3:変更が入ったら /diff で確認 → 自分でコミット
Codexが何かを変更したら、必ず /diff で差分を確認してください。納得できたら、自分でコミットします。
この「起動 → 相談 → 差分確認」のサイクルができるようになると、Codex CLIの価値を実感できるはずです。
1. 起動・終了・セッション管理
1-1. とにかく対話を開始したい
やりたいこと:まず起動して、会話しながら作業を進めたい
使うコマンド:
codex
作業ディレクトリで実行すると、対話セッションが始まります。セッション内で / を入力すると、使えるスラッシュコマンドの一覧が表示されます。困ったらまず / を打ってみましょう。
1-2. 対話UIを開かず、答えだけ欲しい(ワンショット実行)
やりたいこと:説明だけ、方針だけ、サクッと出して終わりにしたい
使うコマンド:
codex "explain this codebase"
引用符で囲んだプロンプトを渡すと、対話モードを開かずに回答だけ返してくれます。「このファイルを要約して」「このエラーの意味を教えて」といった一問一答型の質問に最適です。
1-3. セッションをリセットしたい(会話の切り替え)
やりたいこと:同じターミナルで別のタスクに取り掛かりたい
使うコマンド:
/new
「前の話題を引きずって、的外れな回答が返ってくる」というときは、/new で会話をリセットするのが一番早いです。コンテキストがクリアされ、新鮮な状態で再スタートできます。
1-4. セッションを終了したい
やりたいこと:今のCLIセッションを閉じたい
使うコマンド:
/quit
または /exit でも同じです。シンプルに終了できます。
2. モデル・承認(approvals)・安全運用
2-1. 今の設定状況を確認したい
やりたいこと:使用中のモデル、承認モード、作業範囲などを把握したい
使うコマンド:
/status
現在の動作環境が一覧で表示されます。「あれ、今どんな設定だっけ?」と思ったら、まずこれを確認しましょう。
2-2. モデルを途中で切り替えたい
やりたいこと:軽量モデルから重量モデルへ、またはその逆に切り替えたい
使うコマンド:
/model
用途に応じたモデル選びの目安は以下の通りです。
- ざっくり調査・雑務:軽量モデル(速さ重視)
- 重要な設計・複雑な判断:重量モデル(精度重視)
作業フェーズに合わせて柔軟に切り替えると、効率が上がります。
2-3. 自動操作の許可レベルを変更したい
やりたいこと:「勝手にどこまで触っていいか」を調整したい
使うコマンド:
/approvals
Codexがファイルを編集したり、コマンドを実行したりする際の「承認ポリシー」を切り替えられます。おすすめの運用パターンは以下の通りです。
- 設計・調査フェーズ:Read-only(相談モード。変更は一切させない)
- 実装フェーズ:Auto(基本はこれ。必要に応じて確認が入る)
- 大量修正・定型作業:強め(必要な時だけ。事故リスクも上がる)
「強め」にするほど便利ですが、意図しない変更が入るリスクも上がります。まずは安全寄りの設定で慣れるのが鉄板です。
2-4. 会話が長くなって動作が重い → 要点だけ残したい
やりたいこと:コンテキストを圧縮して、回答精度を維持したい
使うコマンド:
/compact
長い調査や連続した修正作業の途中で、このコマンドを1回挟むだけで「話が迷走する」現象を防げます。要点だけを残してコンテキストを整理してくれるイメージです。
3. ファイル参照・差分確認・レビュー
3-1. 変更点(Git diff)をその場で見たい
やりたいこと:Codexが行った編集をコミット前に確認したい
使うコマンド:
/diff
「直したよ」と言われても、どこをどう直したのか分からないと不安ですよね。/diff を使えば、変更箇所が一目で分かります。コミット前の確認は必須です。
3-2. 特定のファイルを明示的に参照させたい
やりたいこと:「このファイルを見て」と確実に伝えたい
使うコマンド:
/mention
ファイルを会話に紐づけて、確実に参照させることができます。
さらに便利な技として、入力欄で @ を打つと、ファイルパスをファジー検索して挿入できます。ファイル数が多い大規模リポジトリでは特に重宝します。
3-3. PR前にコードレビューしてほしい
やりたいこと:プルリクエストを出す前に「穴」や「危険な変更」を指摘してほしい
使うコマンド:
/review
変更内容に対して、観点と指摘をまとめてくれます。おすすめの活用コンボは以下の通りです。
/reviewでレビュー観点と指摘をもらう/diffで実際の差分を確認する- 指摘箇所を修正する
- 再度
/reviewで最終チェック
このサイクルを回すだけで、PR品質がグッと上がります。
4. ローカルコマンド連携(!)
4-1. ローカルコマンドを会話の流れで実行したい
やりたいこと:ls や pytest を、会話の中でサクッと実行したい
使い方:行頭に ! を付ける
!ls
!pytest -q
!npm test
!git status
実行結果がそのまま会話に取り込まれるので、「テスト結果を踏まえて次どうする?」といった流れがスムーズになります。
活用のコツ:
- テスト結果やログをコピペで貼るより、
!で実行した方がラク - 結果を踏まえた「次のアクション」まで一気に相談できる
- 「このエラーログを見て原因を教えて」→
!で実行 → 解析、の流れが強力
5. 自動化(exec)・クラウド実行(cloud)
5-1. 対話なしで「やって結果だけ返して」にしたい
やりたいこと:CI失敗の修正や定型作業を、対話なしで片付けたい
使うコマンド:
codex exec "fix the CI failure"
exec モードは、対話を挟まずにタスクを実行して結果だけ返してくれます。向いている用途は以下の通りです。
- 静的解析の指摘をまとめて修正
- 型エラーの一括修正
- 小規模なリファクタ(関数分割、重複除去)
- フォーマッターやリンターの修正対応
定型的で判断が明確な作業は、exec で自動化すると大幅に時短できます。
5-2. ローカル環境を汚さず重い仕事を投げたい
やりたいこと:長時間かかる調査や、複数の案出しをクラウドで実行したい
使うコマンド:
codex cloud
または、特定の環境を指定して実行する場合は以下のようにします。
codex cloud exec --env ENV_ID "Summarize open bugs"
クラウド実行のメリットは以下の通りです。
- ローカル環境を汚さない
- 長時間の調査やバグ棚卸しに最適
- 「案だけたくさん出してもらう → 良いものだけ採用」という使い方がしやすい
6. MCPの確認(/mcp)
6-1. 今使えるMCPツールを確認したい
やりたいこと:MCPが有効になっているか、どのツールが利用可能か確認したい
使うコマンド:
/mcp
MCP(Model Context Protocol)は、Codexに「外部の手足」を生やす仕組みです。ドキュメント検索、データベース参照、社内API連携など、様々なツールを会話の中から呼び出せるようになります。
/mcp コマンドで、現在利用可能なツールの一覧を確認できます。MCPの詳しい導入方法と設定については、次の記事「Codex CLI 設定ガイド」で解説します。
7. よくある詰まりどころ(ミニFAQ)
Q1. Codexが見当違いな提案をし始めた
A. まず /compact で会話を要約し、軌道修正を試みてください。それでも改善しない場合は、/new で会話をリセットするのが最も早い解決策です。
Q2. ファイルをちゃんと読んでくれていない気がする
A. /mention でファイルを明示的に指定するか、入力時に @ を使ってファイルパスを挿入してみてください。これで確実にファイルが参照されるようになります。
Q3. 変更を勝手に入れてほしくない
A. /approvals でRead-only(読み取り専用)モードに切り替えるか、「まず設計を相談 → 承認後に実装」という二段階の運用にすると安心です。詳しい設定方法は次の記事で解説します。
Q4. どのモデルを使えばいいか分からない
A. 迷ったら以下を目安にしてください。
- 速さ優先(雑務・簡単な質問):軽量モデル
- 精度優先(設計・複雑な判断):重量モデル
/model でいつでも切り替えられるので、まずは試してみて、必要に応じて調整するのがおすすめです。
Q5. コマンドが覚えられない
A. 対話セッション中に / を入力すると、使えるコマンドの一覧が表示されます。まずはこれを見ながら操作すれば大丈夫です。
8. まとめと次のステップ
この記事のまとめ
Codex CLIの基本的な使い方を、「やりたいこと」から逆引きできる形でまとめました。ポイントは以下の3つです。
- 最小ルーティン:起動 → 相談 →
/diffで確認 → コミット - 安全運用:まずは安全寄りの設定で慣れる。
/approvalsで調整 - 困ったら:
/compactか/newでリセット
次にやること
「手触り」が分かったら、次は運用を固める番です。次の記事「Codex CLI 設定ガイド」では、以下の内容を詳しく解説します。
~/.codex/config.tomlの基本とおすすめ初期設定- 仕事用・趣味用を分けるprofile運用
- AGENTS.mdでプロジェクトの暗黙知をCodexに渡す
- Custom Promptsで繰り返し作業をコマンド化
- MCPの導入と設定(外部ツール連携)
- Web検索・ネットワーク許可の安全な設計
Codex CLIを「便利だけど怖い」から「便利で安心」に変えるための設定を、しっかり固めていきましょう。



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