VS Code(Visual Studio Code)は軽量で高機能なコードエディタとして世界中の開発者に愛用されています。しかし、長期間使い続けていると「起動が遅い」「入力にラグがある」「スクロールがカクつく」といった症状が出ることがあります。
この記事では、VS Codeの動作が重くなる原因と、それぞれの対処法を詳しく解説します。キャッシュのクリア方法から、設定の最適化、拡張機能の見直しまで、すぐに実践できる解決策をまとめました。
VS Codeが「重い」と判断される症状
まずは、VS Codeのパフォーマンスに問題があるかどうかを確認しましょう。以下のような症状がある場合、対処が必要です。
- 入力してから文字が表示されるまでにラグがある
- 保存や補完、検索などの操作に数秒かかる
- スクロールやタブの切り替えがカクつく
- 起動時に数十秒以上待たされる
- CPU使用率やメモリ消費が異常に高い
これらの症状は、キャッシュの蓄積、拡張機能の過剰なインストール、設定の問題など、様々な原因で発生します。
VS Codeが重くなる主な原因
VS Codeのパフォーマンスが低下する原因は主に以下の5つです。
1. キャッシュの蓄積
VS Codeはファイルの読み込み速度を向上させたり、以前のセッションの状態を保存したりするためにキャッシュを使用します。しかし、キャッシュが古くなったり破損したりすると、逆にパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。
2. 拡張機能の過剰インストール
VS Codeの魅力である豊富な拡張機能ですが、使わないものまでインストールしていると処理が重くなります。特に、常時バックグラウンドで動作する拡張機能は注意が必要です。
3. ワークスペースのサイズ
大規模なプロジェクトを開いていると、ファイル監視やインデックス作成のためにリソースが増加し、動作が重くなることがあります。
4. 設定の不適切さ
settings.jsonの設定が増えすぎたり、パフォーマンスに影響する設定が有効になっていると、動作が重くなる可能性があります。
5. 自動検出機能の負荷
ビルドタスクの自動検出(TypeScript、npm、Grunt、Gulpなど)が有効になっていると、起動時に余計な処理が走り、遅延の原因になることがあります。
対処法1: キャッシュをクリアする
最も効果的な対処法の一つがキャッシュのクリアです。VS Codeには複数のキャッシュフォルダがあり、それぞれ役割が異なります。
キャッシュフォルダの場所
OSごとにキャッシュフォルダの場所が異なります。
Windows
%APPDATA%\Code\Cache
%APPDATA%\Code\CachedData
%APPDATA%\Code\User\workspaceStorage
%LOCALAPPDATA%\Code
macOS
~/Library/Application Support/Code/Cache
~/Library/Application Support/Code/CachedData
~/Library/Application Support/Code/User/workspaceStorage
~/Library/Caches/com.microsoft.VSCode
Linux
~/.config/Code/Cache
~/.config/Code/CachedData
~/.config/Code/User/workspaceStorage
キャッシュクリアの手順
- VS Codeを完全に終了する:キャッシュを安全にクリアするための前提条件です。
- キャッシュフォルダに移動する:上記のパスに従って移動します。
- フォルダの内容を削除する:
CacheフォルダとCachedDataフォルダの中身を削除します。 - VS Codeを再起動する:新たなキャッシュが生成され、パフォーマンスが改善されるはずです。
コマンドパレットからのクリア
一部のキャッシュはコマンドパレットからもクリアできます。
Ctrl + Shift + P(MacはCmd + Shift + P)でコマンドパレットを開くDeveloper: Open Workspace Storageと入力して実行- 開いたフォルダ内のファイルを削除
ワークスペースストレージのクリア
ワークスペースごとに保存されるデータも蓄積すると問題になることがあります。以下のフォルダを定期的に整理しましょう。
# Windows
%APPDATA%\Code\User\workspaceStorage
# macOS
~/Library/Application Support/Code/User/workspaceStorage
# Linux
~/.config/Code/User/workspaceStorage
対処法2: 拡張機能を見直す
拡張機能はVS Codeのパフォーマンスに大きく影響します。以下の方法で見直しを行いましょう。
起動時間を確認する
- コマンドパレットで
Developer: Startup Performanceを実行 - 各項目の数値を確認し、突出して大きいものを特定
実行中の拡張機能を確認する
- コマンドパレットで
Developer: Show Running Extensionsを実行 - 表示される一覧から、実行時間が長い拡張機能を特定
Activation: 1000msのように表示される時間が大きいほど影響が大きい
拡張機能のトラブルシューティング
問題のある拡張機能を特定するには、二分探索法が便利です。
- コマンドパレットで
Help: Start Extension Bisectを実行 - すべての拡張機能が無効化される
- 段階的に拡張機能を有効化していき、問題のある箇所を特定
拡張機能を無効化する方法
- グローバルに無効化:拡張機能ビューで「Disable」をクリック
- ワークスペースのみ無効化:「Disable (Workspace)」を選択
特にリソースを多く消費することがある拡張機能として、Python拡張機能やPrettierなどが挙げられます。必要に応じて代替ツールの利用も検討しましょう。
拡張機能フォルダの整理
拡張機能のデータは以下の場所に保存されています。定期的に整理することをおすすめします。
# Windows / macOS / Linux 共通
~/.vscode/extensions
対処法3: settings.jsonを最適化する
VS Codeの設定ファイル(settings.json)に以下の設定を追加することで、パフォーマンスの改善が期待できます。
settings.jsonの開き方
Ctrl + Shift + P(MacはCmd + Shift + P)でコマンドパレットを開くPreferences: Open User Settings (JSON)と入力して実行
パフォーマンス改善のための設定
{
// ミニマップを無効化(描画負荷軽減)
"editor.minimap.enabled": false,
// 空白文字の表示を最小限に
"editor.renderWhitespace": "none",
// 自動保存の設定(頻繁な書き込みを防ぐ)
"files.autoSave": "onWindowChange",
// フォルダのコンパクト表示を無効化
"explorer.compactFolders": false
}
ファイル監視の除外設定
ファイル数が多いディレクトリを監視対象から除外することで、CPU使用率を大幅に削減できます。
{
"files.watcherExclude": {
"**/.git/objects/**": true,
"**/.git/subtree-cache/**": true,
"**/.history/**": true,
"**/.ipynb_checkpoints/**": true,
"**/node_modules/**": true,
"**/out/**": true,
"**/dist/**": true,
"**/vendor/**": true
}
}
この設定により、CPU使用率が10〜20%から0〜2%に改善したという報告もあります。
検索の除外設定
{
"search.exclude": {
"**/node_modules": true,
"**/bower_components": true,
"**/dist": true,
"**/coverage": true,
"**/vendor": true
}
}
自動検出機能を無効化する
ビルドタスクの自動検出を無効にすることで、起動時間を短縮できます。
{
"typescript.tsc.autoDetect": "off",
"grunt.autoDetect": "off",
"jake.autoDetect": "off",
"npm.autoDetect": "off",
"gulp.autoDetect": "off"
}
TypeScript関連の最適化
{
// プロジェクト診断機能を無効化(CPU使用率低減)
"typescript.disableAutomaticTypeAcquisition": true,
// TypeScriptのログ出力をオフ(ディスクI/O軽減)
"typescript.tsserver.log": "off"
}
settings.jsonの初期化
設定が複雑になりすぎている場合は、初期化も検討してください。
- 現在の
settings.jsonの内容をバックアップ - ファイルの中身を空(
{}のみ)にする - 必要な設定だけを少しずつ追加していく
対処法4: VS Codeを最新版に更新する
古いバージョンのVS Codeには、既知のバグやパフォーマンス問題が含まれていることがあります。
手動でアップデートを確認する方法
- メニューから「ヘルプ」→「更新の確認」を選択
- アップデートがある場合はインストール
自動更新を有効にする
{
"update.mode": "default"
}
対処法5: 開いているファイルを整理する
シンプルですが効果的な対処法です。
- 不要なタブをこまめに閉じる
- 1プロジェクト1ウィンドウ運用にする
- 大きなファイル(300MB以上)を開かないようにする
対処法6: VS Codeを再インストールする
上記の方法で改善しない場合は、再インストールを検討しましょう。
再インストールの手順
Windows
- 「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」からVS Codeをアンインストール
- 以下のフォルダを削除(設定やキャッシュも完全に削除する場合)
%APPDATA%\Code %USERPROFILE%\.vscode - VS Code公式サイトから最新版をダウンロードしてインストール
macOS
- 「アプリケーション」フォルダから「Visual Studio Code.app」をゴミ箱へ移動
- 以下のフォルダを削除
~/Library/Application Support/Code ~/.vscode - VS Code公式サイトから最新版をダウンロードしてインストール
対処法7: VS Code Insidersに移行する
通常版のVS Codeでどうしても改善しない場合、VS Code Insiders(プレビュー版)への移行も選択肢の一つです。Insiders版は最新の機能やバグ修正が先行して適用されており、パフォーマンス問題が解消されていることがあります。
対処法8: ハードウェアの確認
ソフトウェア側の対処でも改善しない場合は、ハードウェアが原因かもしれません。
- メモリ:8GB以上、理想的には16GB以上を推奨
- ストレージ:HDDからSSDに変えるだけで大幅に改善
- 不要なアプリを閉じる:メモリを確保する
タスクマネージャー(Windows)やアクティビティモニタ(macOS)でメモリ・CPU消費をチェックし、VS Code以外のアプリケーションが原因でないか確認しましょう。
特殊なケース: Windows環境での追加対処
Nahimic Serviceの影響
ASUSのマザーボードを使用している場合、Nahimic Serviceが起動時間に悪影響を及ぼすことがあります。
- タスクマネージャーを開く
- 「サービス」タブでNahimic Serviceを探す
- 右クリックして「停止」を選択
これにより、起動時間が600ms台から50ms台に改善したという報告があります。
パフォーマンス確認コマンド一覧
VS Codeのパフォーマンスを確認・改善するためのコマンドをまとめました。すべてコマンドパレット(Ctrl + Shift + P / Cmd + Shift + P)から実行できます。
| コマンド | 用途 |
|---|---|
Developer: Startup Performance |
起動時間のプロファイル表示 |
Developer: Show Running Extensions |
実行中の拡張機能と起動時間の表示 |
Help: Start Extension Bisect |
問題のある拡張機能を二分探索で特定 |
Developer: Open Workspace Storage |
ワークスペースストレージを開く |
Developer: Reload Window |
ウィンドウを再読み込み |
Search: Clear Search History |
検索履歴のキャッシュをクリア |
Clear Editor History |
エディタ履歴をクリア |
ターミナルからもパフォーマンスを確認できます。
# 各プラグインの起動時間を確認
code --status
まとめ: 効果的な対処の順序
VS Codeが重いと感じたら、以下の順序で対処することをおすすめします。
- まずは軽めの対処から
- 不要なタブを閉じる
- VS Codeを再起動する
- VS Codeを最新版に更新する
- キャッシュのクリア
- CacheフォルダとCachedDataフォルダの内容を削除
- ワークスペースストレージを整理
- 拡張機能の見直し
- 起動時間を確認して重い拡張機能を特定
- 使用していない拡張機能を無効化・削除
- settings.jsonの最適化
- ファイル監視の除外設定
- 自動検出機能の無効化
- 不要な機能の無効化
- 最終手段
- VS Codeの再インストール
- VS Code Insidersへの移行
VS Codeは適切に最適化することで本来の軽快さを取り戻せます。定期的なメンテナンスを心がけて、快適な開発環境を維持しましょう。


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